所得税の税務調査とは
Q 所得税の税務調査の内容と対象となりやすい申告内容とはどのようなものですか?
A 所得税は、事業所得などの所得と譲渡に関する所得(譲渡所得)に大別され、主な内容は下記のとおりとなります。
⑴ 所得税調査の概要
○所得税(事業所得など)
所得や事業の種類に応じて、通常調査・書面調査・呼出調査があります。なお、給与所得、雑所得等については電話連絡等により確認し修正申告を勧奨されるのが一般的であると思われるため、実地調査の対象となるのは事業所得や不動産所得となります。
・通常調査
不動産所得や事業所得を得ている方は、会社に対する法人税調査と同じ通常調査が実施されます。売上や仕入、諸経費等の確認がされます。
・書面調査
質問事項に回答のうえ、必要書類を同封して返信して行う調査です。申告書に簡易な不備があった場合に用いられます。
・呼出調査
指定した時間に税務署において、持参した資料を基に行われる調査です。主に取引量が少ない事象に対して、契約書類・領収証等を確認しながら面談形式にて行われます。
〇譲渡所得
譲渡所得税の調査は、主に土地、建物、金地金、ゴルフ会員権、株式を対象として行われます。一般的には、親族間取引により売買対象物の売買価額の適正性の確認が行われます。したがいまして、譲渡契約書、売主と買主の関係、実際の資金移動、売買対象物の現状等について質問されることが多いです。
⑵ 税務調査となりやすい申告内容
〇所得税(事業所得など)
申告書・添付資料、・税務署の収集資料により総合的に調査対象が検討されます。具体的には、下記事項に該当する申告が優先されるものと思われます。
・事業数値に著しい変動があるもの
・同業者の分析比率と著しい差異があるもの
・高額事業所得者など
・更正の請求などがあったもの
・無申告であるもの 等
〇譲渡所得
申告書・添付資料などから、譲渡価額・取得費・特例の適用等の確認のため調査先を選定されます。主に次のような申告内容ものが対象となるものと思われます。
・譲渡価額が時価と著しく乖離しているもの
・低額譲渡に関するもの
・実質的に贈与と思われる譲渡に関するもの
・取得価額の根拠が明確でないもの
・特例の適用に確認すべき事項があるもの 等
Point
事業所得などの調査は、一般的には源泉所得税、消費税などの調査と同時に実施されます。