反面調査

〇反面調査はどのような場合でも実施されるものでしょうか。

国税職員において反面調査の必要性がないと判断された場合には、実施されません。

⑴ 反面調査とは

国税職員の質問検査権の相手方は、納税義務者及び納税義務者の取引先等となっております(国税通則法第74条の2~6)。したがって、取引先等に対しても納税義務者の調査を実施することができ、当質問検査権を反面調査と呼びます。なお反面調査には、主に直接取引先等を訪問し関係書類を調査する方法と文書または電話により照会する方法があります。

⑵ 反面調査をおこなう場合

「取引先等に対する反面調査の実施に当たっては、その必要性と反面調査先への事前連絡の適否を十分検討する」と国税庁の事務運営指針に記載されております。したがって、取引先などに調査を実施しなければ納税者の適正な所得を把握できない場合に反面調査は実施されます。具体的には、まず納税者本人に調査を実施し、その過程で帳簿の記載内容や質疑応答の内容に疑義がある場合には、取引先等に対し納税者に関する調査を実施します。

⑶ 反面調査の通知義務

反面調査を実施する場合において、国税職員は納税者に対し事前に承諾を得る必要はないものと解されております。しかし、実務上は納税者の事業や取引先等の業務に少なからず影響を与える可能性がありますので、事前に国税職員から納税者に報告されることが多いようです。

また取引先等に対しては「反面調査の実施に当たっては、反面調査である旨を取引先等に明示した上で実施することに留意する」と事務運営指針に記載されている通り、原則として連絡をおこなうこととされております。

⑷ 反面調査を必要とされないためには

反面調査は、主に帳簿の記載内容や質疑応答の内容に疑義ある場合に実施されます。したがって、信憑性の高い帳簿書類や税務証拠資料の保存が反面調査を回避することにつながります。故に売上伝票、領収書、仕入伝票、納品書、契約書、稟議書等の保存を漏れのないよう正確におこない、疑問点が生じないようにしておく必要があります。なお、普段から個々の取引について取引先等に確認できるような管理体制を構築されることが望ましいでしょう。