自己満足な生前贈与。調査で指摘を受けないために理解しておくことは?

相続対策・相続税対策だけでなく相続手続き等も実施していくなかで、下記場合における税務上の取扱いについて注意すべき一例を簡単に説明させていただきます。

  • 贈与時
  • 相続時

この度は、贈与時についてお話をさせていただきます。

 

事例

相続対策・相続税対策として、父から毎年100万円ずつ15年間にわたって贈与を受けた。

各年の受贈額が基礎控除額(110万円)以下であるため、特に申告等をおこなっていない。

 

提案

最近は、書籍やインターネット等で簡単に情報を得ることが可能な環境となりました。それ故、その情報により将来の相続に対して何等かの対策が必要であると認識・理解する機会を得られますが、場合によっては説明不十分な情報により独自に解釈して自己中心的な対策を講じてしまうという危険な側面もございます。

 

原則として年間110万円までの贈与については贈与税がかからないため、この暦年贈与という方法は相続対策・相続税対策においてよく用いられる方法です。したがって、事例のように継続して贈与をおこなうこと(いわゆる連年贈与)をお考えになれる方が多いのですが、その場合には注意が必要です。

 

贈与でも当初より15年間にわたり毎年100万円ずつ贈与を受けることが約束されている場合には、その時(約束をした時)に15年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利(定期金に関する権利)の贈与を受けたものとして取り扱われ、贈与税申告が必要となります(贈与税の納税義務が生じます)。

 

したがいまして、各年に独立した贈与を行う場合には問題はありませんが、毎年同じ金額を同じ月日に、そして同じ相手に贈与を行う場合には、課税当局からあらぬ疑いをかけられる可能性も否定はできません。よって暦年贈与を複数にわたりおこなう場合には、

 

  • 各贈与は原則として独立した個々の取引である
  • 当初より複数年にわたり一定額を分割して贈与する契約をした時は、贈与税が生じる

 

ということを理解しておく必要があります。

 

なお実務では、この様に一見同じ取引に思えても、実際は異なる課税上の取扱いを受けるものが多く存在します。専門家やアドバイザーに説明を受ければその違いは明らかとなるとしても、一般の方が当初からその相違を判断するのは難しいものもあります。

何事においても自ら情報を収集し検討をすることは非常に大切です。しかし法律や税務、諸手続きに関し疑問に感じる箇所がございましたら独自に判断をされず、専門家やアドバイザーにご確認されることをお勧めいたします。